ちびまる子ちゃんが教えてくれたこと

2018.08.30 Thursday

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    小学生の頃、漫画ちびまる子ちゃんが好きで、単行本を買っていた。

     

    少女漫画なので、ちょっと買うのは恥ずかしかった。

     

    初めて見たときは、絵の下手さと、内容のどうでも良さに驚いた。

    初期、たぶん始めの5巻ぐらいまでは本当に絵が下手だった。こんなに下手でも漫画家になれるものかと、衝撃を受けたものだった。
    でも、今思えば、その後絵が上達し、可愛らしいだけになったまる子よりも、下手だったころのほうが伝わるものがある。
    描き方が「やり方」になっていないので、表情が今の漫画のように記号的でなく、生き生きとしていた。
    なんとかして伝えよう、という作者の思いが入っていた気がする。それで生まれたのが、あのがーんの顔の縦線なのかもしれない。

     

    それはそうとして、実は本編よりも、おまけのような感じで巻末に載っていた、作者の生活みたいな話が好きだった。
    漫画家という職業はどのようなものか、絵が好きだった小学生の僕は興味があったのだ。

     

    もう30年近く前のことだし漫画も残ってないので、うろ憶えだが、とにかく印象に残っているのは作者のさくらももこが
    布団の中から朝早く出勤していくサラリーマンたちを眺めながら、

     

    「うっひっひ。これが漫画家の特権だね〜。」

     

    みたいなことを言っていたコマだ。

     

    当時、小学校高学年にさしかかっていた僕は、このまま卒業して中学に入ったらどうやら受験という苦難が待ち構えており、
    無事高校に入学できたとしても、次は大学受験が待っており、その後は就職して、定年まで会社に通い続けるのかと気づき、何ともいえない憂鬱な気持ちになった。父親がサラリーマンだったので、何となくそういうもんだと思っていた。
    でも、俺はこの先おじいちゃんになるまで、目覚まし時計に無理矢理起こされる日々が続くのかと思うと、少年は初めて人生に漠然とした絶望感みたいなものを感じた。

     

    丁度そこへきての、まるちゃんのうっひっひだ。

     

    僕は憧れた。うっひっひに。

     

    あんなに下手な絵を描いて、朝は布団でうっひっひ。そんな仕事、最高じゃないか。

     

    そして、僕のなりたい職業は「漫画家」になった。

     

    そんなに漫画が描きたかった訳ではない。

     

    うっひっひになりたかったのだ。

     

    そう。表向きの夢は漫画家でも、本当になりたい職業は「うっひっひ」。

     

    違う。それは決して怠惰でありたいという意味ではない。

     

    自分の時間を自分で決めたかったのだ。誰かの決めた時間に合わせて、毎朝起こされるというのがどうしても嫌だったのだ。

     

    思えばそれは、初めて自分は将来何を仕事にするか、ということを意識した瞬間だった。

     

    そういう意味では、さくらももこは僕の人生に直接的に大きな影響を与えてくれた一人である。

     

     

    どうもありがとうございました。

     

    ご冥福をお祈りします。

     

     

    あなたのせい(おかげ)で、その後こんな妙な人生になってますが、学生の時みたいな、朝起きる時の、誰かに支配されてるような絶望感はないです。

     

    結果的に、今は10時に寝て5時に起きるという、小学生の僕もびっくりの規則正しい生活してるんですけどね。

     

    うっひっひ。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

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    2018.09.20 Thursday

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